2024 年 4 巻 1 号 p. 45-54
2019年末にアジアで発生したCOVID-19のパンデミックにより,多くの人々の日常生活や社会的接触が制限された。この結果,特に青少年の精神的健康に深刻な影響が及んだ。パンデミックの影響で摂食障害患者の病状も悪化し,パンデミックを契機に摂食障害を発症するケースも増加した。パンデミックにより遠隔医療が積極的に導入され受療環境が変化したことや,生活環境が変化したことが,病状悪化の一因とされている。また,パンデミック以前より早期治療介入の重要性が高まっている一方で,医療アクセスの複雑さが問題点として指摘されており,適切な治療経路の確立が求められている。本稿では,これらの状況を疫学的な状況を踏まえながら,特に日本国外での状況に焦点を当てて,COVID-19のパンデミックによる摂食障害診療体制への影響,今後の課題に関して,文献的なレビューと考察を行う。