教育心理学研究
Online ISSN : 2186-3075
Print ISSN : 0021-5015
ISSN-L : 0021-5015
原著
小学生の予期不安と中学校入学後の学校適応感との関係に関する学校心理学的研究
南 雅則浅川 潔司秋光 恵子西村 淳
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 59 巻 2 号 p. 144-154

詳細
抄録

 本研究の目的は, 小学6年生の予期不安に関する調査を実施し, 中学校入学後の学校適応感との関連を検討することであった。小学生の予期不安は, 16名の中学生を対象に実施された予備調査を経て開発された「中学校生活予期不安尺度」によって測定された。さらに学校適応感を測定するため, 浅川・尾崎・古川(2003)の「学校生活適応感尺度」が使用された。研究参加者は, 男子小学生195名, 女子小学生153名であった。学校生活適応感尺度の下位尺度において以下のような結果を得た。(1) 教師との関係得点に時期×予期不安水準×性別の2次の交互作用が見出され, 予期不安低群において4月末では男子よりも女子の方が高かったが, 5月末にはその差は見られなかった。また, 予期不安高群において4月末では男子と女子の得点に有意差は見られなかったが, 5月末では男子よりも女子の方が高かった。(2) 情緒的安定性得点は, 予期不安水準の「低群」, 「中群」, 「高群」の順に高かった。(3) 部活動への意欲得点は, 4月末から5月末にかけて低下していた。以上の結果をふまえ, 学校心理学における個人—社会的発達の支援の視点から考察がなされた。

著者関連情報
© 2011 日本教育心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top