本研究では, 高校生が意見文を作成する際, 型指導(清道, 2010)だけでは効果が十分に現れなかった, 内容面での充実を図るために, 型指導に「紙上交流」を加えることの効果を検討した。高校2年生57名(交流群29名, 型指導群28名)が, 教科書教材を読んで意見文を書く際, 介入指導1回目は, 交流群には紙上交流(対象者の意見をまとめた「交流」プリントを与える), 型指導群には型提示(意見文の構成を示した「型」プリントを与える)を行った。その結果, 意見文の理由や予想される反論等に関する内容評価は, 両群で同程度の向上が見られた。介入指導2回目は, 両群に対して紙上交流と型指導を行ったところ, 理由に関する評価は型指導群の方が交流群より有意に高かった。また, 事後テストでは, 両群ともに介入指導時より内容評価は下がったが, 理由の評価は型指導群の方が交流群より高かった。以上より, 高校生の意見文を内容面で充実させる上で, 型指導に加えて紙上交流を行うことには一定の効果が認められ, さらに, 紙上交流を行ってから紙上交流と型指導を合わせて行うより, 型指導を行ってから紙上交流と型指導を合わせて行う方が効果的であることも示された。
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