教育心理学研究
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原著
教育実習の実習班における実習生の居場所感と実習前後における教職意識の変容
三島 知剛林 絵里森 敏昭
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2011 年 59 巻 3 号 p. 306-319

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抄録

 本研究の主目的は, 実習生の実習班における居場所感が実習生の教職意識の変容に与える影響を居場所感の変容に与える影響要因と共に検討することであり, 実習生140名を対象に実習前後で調査を行った。その結果, (1) 居場所感は「本来感」「役割感」「共感性」の3因子からなり, 居場所感は実習後に高まること, (2) 実習中の実習班での「インフォーマル場面での親和経験」「フォーマル場面での協力経験」が居場所感を高め, 「独立経験」が居場所感の「共感性」を低め, 性差があること, 指導教員との関わりのうち女性においてのみ「教壇実習に対する指導・支援」が居場所感の「役割感」を高めること, (3) 実習における居場所感の「役割感」の高まりが, 女性の「教職志望度」を強め, 男性の教師イメージの変容に影響すること, (4) 居場所感の高まりが教師効力感の向上に影響し, 特に男性においてその影響力が強いこと, の4点が主に示唆された。

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© 2011 日本教育心理学会
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