2019 年 67 巻 2 号 p. 118-131
近年,マインドワンダリングに関する研究が盛んに行われている中で,意図的に行うマインドワンダリングと非意図的に生じるマインドワンダリングを区別して扱うことの重要性が強調されている。そこで本研究は,意図的なマインドワンダリング傾向を測定するMind Wandering: Deliberate (MW-D) と非意図的なマインドワンダリング傾向を測定するMind Wandering: Spontaneous (MW-S) の日本語版の尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検討することを目的とする。総計357名の大学生を対象に質問紙調査を行い,翻訳した尺度の構造を確認したところ,原版と同様に2因子構造が妥当であることが示された。また,質問紙調査に加えて実験データ(総計N=60名)を用いて信頼性と妥当性の検討を行ったところ,十分な内的整合性と基準関連妥当性が示され,日本語版MW-DとMW-Sが一定の信頼性と妥当性を有することが確認された。