教育心理学研究
Online ISSN : 2186-3075
Print ISSN : 0021-5015
ISSN-L : 0021-5015
原著
ブロック練習と交互練習の単独効果と複合効果の比較検討
―学習内容の定着度,及び,確信度判断の正確性に着目して―
尾之上 高哉井口 豊
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 68 巻 2 号 p. 122-133

詳細
抄録

 本研究では,学習法としてのブロック練習と交互練習に注目し,それぞれの単独効果,及び,それらを組み合わせた時の複合効果を比較検討する実験を行った。大学生66名が,学習を1週間の間隔をあけて2回行い,2回目の学習の1週間後にテストを受けた。66名は,2回の学習の方法が異なる次の4つの条件,つまり,条件1(2回ともブロック練習で学習する),条件2(1回目をブロック練習で2回目は交互練習で学習する),条件3(1回目を交互練習で2回目はブロック練習で学習する),条件4(2回とも交互練習で学習する),のいずれかに割り当てられた。条件間でテストの正答率に差があるかを分析した結果,正答率は,条件4,条件2及び3,条件1,の順で高く(条件4>2=3>1),この3者の間には有意差が確認された。つまり,交互練習の機会が増えるに従って,学習内容の定着が進むことが示された。また,実験参加者には,テスト時に自身が想起した解答がどの程度正しいと思うかについての確信度判断を,多段階評定を用いて行ってもらった。その確信度判断と実際のテストの得点の関連を条件毎に分析した結果,学習者は,定着に効果を持つ学習法で学習した時の方が,確信度判断を正確に行える可能性があることが示唆された。

著者関連情報
© 2020 日本教育心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top