2021 年 69 巻 1 号 p. 10-25
本研究では,教師評定を用いて児童のソーシャルスキルを測定し,児童評定による学級生活満足度との関連を検討した。調査の対象は1,133名の児童(男子598名,女子535名;平均年齢は10.71歳)と彼らの担任教師41名であり,教師評定によって配慮のスキルとかかわりのスキルの測定が行われた。マルチレベル構造方程式モデリングの結果,関連の効果は小さかったものの,かかわりのスキルと配慮のスキルは学級生活満足度と関連を示すことが明らかにされた。承認感に対しては両スキルが正の関連を,被侵害感に対しては配慮のスキルが負の関連を示すことが示された。これらの結果をふまえ,教師評定を用いた研究の重要性と留意点が議論された。