2022 年 70 巻 3 号 p. 303-312
本研究は,中学3年生の受験期におけるストレス反応と対処方略との関係性を,短期縦断的に研究することを目的とした。268名の高校受験生を調査協力者として,中学3年生の1月中旬,2月中旬,3月上旬の3時点において,ストレス反応とストレッサーへの対処方略を測定した。多変量潜在成長モデルによる検討を行った結果,(a)ストレス反応の初期値の切片は,問題解決的対処の傾きに負の影響を与えること,(b)他者依存的情動中心対処の切片はストレス反応の傾きに負の影響を与えること,(c)ストレス反応と回避的対処の切片同士は負の関連を示すものの,継時的な関連性は認められないことが示された。以上の結果を踏まえ,高校受験期にある中学生におけるストレスに対し,どのように対処方略を活用していくことができるかについて,考察を行った。