教育心理学研究
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原著
自身の行為に対する謝罪に影響を及ぼす要因の検討
―コーピング方略,ソーシャルサポート状況,エゴ・レジリエンシーの視点から―
藤野 京子
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2023 年 71 巻 1 号 p. 26-37

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抄録

 自身の行為が謝罪に値するかもしれない状況下,どのようなコーピング方略を用い,それらが謝罪するかどうかにどう影響するか,さらに,ソーシャルサポートの有無やエゴ・レジリエンシー(ER)が,それらにどのような影響を及ぼすかを検討するため,20代(N=834)を対象にウェブ調査を実施した。研究協力者は自身のERについて自己評定し,さらに人に暴言を吐いたというシナリオを提示され,自身がその人だと想定して,いかにその状況で反応するかを回答するよう教示された。研究協力者は周りからサポートを提供される支援群,提供されない静観群にランダムに割り振られた。

 ソーシャルサポートの有無によって,とられるコーピング方略の多寡や謝罪の程度に違いが見られた。また,コーピング方略のうち,計画立案方略は謝罪を促進させ,放棄・諦め方略は抑止させることが明らかになった。加えて,支援群では,放棄・諦め方略が少なくなり,謝罪が促進されるのに対して,静観群では,計画立案方略が少なくなり,謝罪が抑止される等の結果が得られた。加えて,ERは肯定的解釈に正の,放棄・諦め方略に負の影響を与えることが示された。

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© 2023 日本教育心理学会
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