2023 年 71 巻 1 号 p. 51-61
感情語を獲得することは子どもの社会化や感情経験の発達に重要な役割を持つ。本研究の目的は,幼児および小学校3年生までの児童を対象とする短縮版感情語彙尺度を開発することである。研究1では,年少児から小学3年生までの子どもを持つ母親からデータを収集し,項目反応理論を用いて幼児用および小学校低学年用の感情語彙尺度を開発し,情動コンピテンスとの関連を調べた。研究2では,幼児用感情語彙尺度で測定される感情語彙能力と一般的な言語能力や社会的コンピテンスとの関連,研究3では,低学年用感情語彙尺度で測定される感情語彙能力と一般的な言語能力との関連を検討した。感情語彙能力と子どもの一般的な言語能力や社会情動的コンピテンスの関連から,本尺度の妥当性の証拠が確認された。