教育心理学研究
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原著
非定型問題解決による授業において解決の方針提示が概念的理解の深化に及ぼす影響
稲村 建
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2024 年 72 巻 1 号 p. 27-39

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抄録

 本研究では,非定型問題を題材とした授業において,その問題の解決の方針として複数の小問を設定するという授業上の工夫(方針提示)が,生徒の概念的理解の深化に及ぼす影響について検討を行った。高等学校の数学Ⅰにおける不等式を題材として,個別での問題解決,解法の共有と比較検討,再度の個別解決からなる授業を構成し,事前課題-授業-事後課題のデザインで実施した。その際,方針提示の下で個別での問題解決に取り組む群(方針提示群)と方針提示をせずに自由な探究の下で個別での問題解決に取り組む群(自由探究群)を用意し,比較を行った。分析の結果,概念的理解の深化のみられた生徒は方針提示群のみからなるクラスではみられなかったのに対し,自由探究群のみからなるクラスでは少ないながらもみられた。また,授業の中で共有されていた表を用いた考え方に着目して検討したところ,個人の学習過程における表の取り入れ方にクラスによる違いがみられ,このことが概念的理解の深化に影響していた可能性が考えられた。また,このような表の取り入れ方の違いについて,方針提示群と自由探究群の生徒が混在し,解法の共有と比較検討の場面が同一となるように設定したクラスにおいても,群間の差が生じていた。

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© 2024 日本教育心理学会
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