2024 年 72 巻 3 号 p. 197-208
『教育心理学研究』に掲載された多くの実践研究論文(原著〔実践研究〕)がこれまで,非アカデミックなコンピテンス(例えば,社会情動的コンピテンス)の育成を目指す授業ベースの心理教育的介入プログラムを開発し効果の検証を行ってきた。ただし,介入プログラムが学校の授業を活用して実施される場合,その効果判断には様々な問題が起こり得る。本論文ではまず,授業と介入プログラムの結びつきに関する仮説的モデルを土台にして,次の4つの観点からそうした起こり得る問題を詳述した。すなわち,(a)介入プログラムの一次効果,及びそれを介した二次効果への影響を確認しているか。(b)介入プログラムを実施したクラス集団内の測定値は独立しているか。(c)介入プログラムの忠実性を評価しているか。(d)介入実践における要求特性の問題に対処しているか。続いて,『教育心理学研究』の掲載論文(2009―2022年)から抽出された実践研究論文22本を対象にしたレビューを行い,多くの論文で上記の観点に立った検討がなされていないことを明らかにした。最後に,残された課題と今後の実践研究で留意すべき点について議論した。