教育心理学研究
Online ISSN : 2186-3075
Print ISSN : 0021-5015
ISSN-L : 0021-5015
児童の自己認識の発達
児童の作文の分析を通して
守屋 慶子森 万岐子平崎 慶明坂上 典子
著者情報
ジャーナル フリー

1972 年 20 巻 4 号 p. 205-215

詳細
抄録

自己認識の発達を明らかにするために, 11人の小学生の作文を1年生から5年生まで追跡し, 分析してみた。その結果, 次のようなことが明らかになった。
(a) 自己の認識は, 他を媒介として可能になる。
(b) 自己の認識は, はじめは外面的なもの (行動) の認識にとどまるが, 次第に内面的なもの (意識内容) の認識が可能になる。
(c) 自己の認識は, まず現在の自己の認識から始まり, ついで, 過去の自己の認識が可能となる。その結果, 変化するものとして自己を認識することができる。
(d) 自己の認識は, 個人としての他を媒介として始まるが, 次第に, 集団としての他を媒介にして深まり, そして, 集団の中の個としての自己の認識へと進む。

著者関連情報
© 日本教育心理学会
次の記事
feedback
Top