教育心理学研究
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日本語における同一名詞連体構造句の再生
細田 和雅
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1980 年 28 巻 2 号 p. 162-165

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抄録

日本語の名詞句の記憶処理には, 句の深層構造が重要な役割を演じているという考えのもとに研究が進められた。
動作主, 時, 所, および動作対象を共通に含む同一名詞連体修飾構造句群は, 動作主が被修飾語となる句型.
(動作主被修飾構造句) に変形され, 記憶処理されるという予想のもとで,(1) 動作主を手掛りとする再生課題では, 動作主被修飾構造句が最も容易に再生されること (2) 時, 所, および動作対象が修飾を受ける名詞句の記銘練習は, 動作主被修飾構造句の再生を増強すること, が実証された。
複数の名詞句をもちいたとき, 動作主に対する時, 所, および動作対象の連合強度は, 次の通りであった。
(1) 時, 所, および動作対象問で差がなかった。
(2) 動作主と時との連合は, 名詞句間における表面構造が同一のときに, 強かった。
(3) 動作主と所および動作対象との連合は, 名詞句間における表面構造の異・同によって影響を受けることがなかった。

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© 日本教育心理学会
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