教育心理学研究
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幼児における自分の心と他者の心の理解
「心の理論」課題を用いて
郷式 徹
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1999 年 47 巻 3 号 p. 354-363

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抄録

本研究の目的は幼児がどのように心を理解するかについて, 自己の心的状態の理解と他者の心的状態の理解の比較を通して, 検討することにある。実験1は, Perner, Leekam & Wimmer (1987) のスマーティー課題 (本研究では自己信念変化課題と呼ぶ) と同構造の3課題 (標準課題・状況変化課題・多義図形課題) を3・4・5歳児63人に実施した。また実験2は, 多義図形課題と誤信念課題 (Wimmer & Perner, 1983) を3・4歳児28人に実施した。2つの実験の結果を通して, 自己の心も他者の心も同時期に理解されることが示され,「心」とは表象であり,「心の理解」は「心の理論」に基づいてなされる表象の操作であると考える理論説の妥当性が支持された。また, 幼児が心を理解する際の表象操作に対する知覚的要因や既有知識の影響が示唆された。

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© 日本教育心理学会
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