教育心理学研究
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ソーシャル・サポートの提供者と受領者の間の知覚の一致に関する研究
受領者が中学生で提供者が母親の場合
尾見 康博
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2002 年 50 巻 1 号 p. 73-80

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抄録

本研究は, ソーシャル・サポートの送り手としての母親と, 受け手としての中学生の間のサポート知覚の一致について検討した。首都圏に住む中学生とその母親542名を対象に質問紙調査を実施した。9つのサポート場面を項目として用意し, それぞれに対してサポートの有無を尋ねた。一致率を算出したところ, 母子ともにサポートを知覚するペアの割合は場面による変動が大きいが, ともにサポートがないと知覚するペアを加えると, 場面差が小さくなった。また, 概して, 母-娘ペアの方が母-息子ペアよりも高い一致率を示した。不一致については, 母 (送り手) のみがサポートを知覚する場合の方が, 子ども (受け手) のみがサポートを知覚する場合よりも多かった。子どもの母親満足度は, サポート知覚が一致しているか否かによって違いはなく, 子どもが母親のサポートを知覚していることによって強められていた。

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© 日本教育心理学会
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