教育心理学研究
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字数制限は, 書き手の文章産出活動にとつて有益であるか?
崎濱 秀行
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2005 年 53 巻 1 号 p. 62-73

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抄録

本研究では, 大学生・大学院生を対象として, 文章を書く際に産出字数を短く制限することにより, 書き手の文章は必要な情報がコンパクトにまとまったエッセンスの詰まったものになるのかどうかを検討した。45人の大学生・大学院生が, モーリタニア国の資料を基に, この国を知らない仲間に向けて国を紹介する文章を産出した (字数は200字, 400字, 字数無制限のいずれか。被験者間計画)。その結果, 200字群における重要な情報 (核情報) の使用個数が400字群および字数無制限群に比べて少なくなったが, 使用情報総数に占める核情報の使用割合は200字群の方が字数無制限群よりも高くなつた。また, 一情報あたりの使用字数は, 字数制限を行った方が字数無制限群よりも少なくなった。さらに, 文章に書く内容の構成について考える度合いは群によって異ならなかったが, 200字群において, 下書きをして情報量の調整をしていた人数が有意に多かった。これらの結果から, 字数を短く制限することにより, 産出された文章は, 必要な情報がコンパクトにまとまった, エッセンスの詰まったものになることが示された。

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© 日本教育心理学会
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