教育心理学研究
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属性操作に関する事例の教示が概念の般化可能性に及ぼす効果
気圧の力学的性質の概念受容学習
藤田 敦
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2005 年 53 巻 3 号 p. 393-404

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抄録
本研究の目的は, 概念受容学習の教授手続きにおいて, 概念情報を教示するだけでなく, 概念構造を操作する事例の教示を追加し, 概念操作に関する知識を補うことが, 学習した科学的概念の般化可能性を促進するのではないかという仮説を検討することであった。206名の大学生を被験者として, 気圧の力学的性質に関する概念情報の教示に加えて, 属性に対する操作を行う気圧実験事例の説明を追加教示することで, 気圧現象に関する般化問題の遂行にどのような影響が生じるかを調べた。その結果,(1) 気圧 (属性) を操作する事例を教示情報に追加することは, その事例との類似性が低い般化事例に対しても, 学習した気圧概念を適用できる可能性を高める効果がある,(2)このような気圧概念の般化の促進には, 与えられた教示情報から, 気圧の力学的性質に関する概念情報を抽出するだけでなく, 気圧属性間の関係性の変換操作に関する情報を抽出できることが影響している, という2点が明らかになった。
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© 日本教育心理学会
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