てんかん研究
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症例報告
大うつ病性障害のため入院治療を行ったてんかん3症例
寺田 倫大沼 悌一加藤 昌明
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2004 年 22 巻 3 号 p. 186-194

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抄録

てんかんにうつ病が合併する例は多いと言われている。発作間欠期に最もよくみられる抑うつ状態は、interictal dysphoric disorder(IDD)、あるいはdysthymic―like disorder of epilepsy(DLDE)と呼ばれている。その特徴は、慢性の気分変調症の状態で、症状は断続的で、短期間の多幸的、爆発性のいらいら、不安、身体症状が混合した症状を呈し、抗うつ薬で改善されることが多い。てんかん患者が重症の抑うつ状態や希死念慮を呈し、入院治療を必要とする大うつ病を呈する報告は少ない。われわれは、重度の抑うつ症状と希死念慮を呈した大うつ病を合併したてんかん患者3例を報告する。抑うつ状態は薬物抵抗性で、多くの種類の抗うつ薬を十分量使用し効果を評価する必要があった。Maprotilineとclomipramineで発作が誘発されたが、他の薬物で誘発されることはなかった。

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© 2004 日本てんかん学会
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