てんかん研究
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症例報告
発作後精神病状態を呈した前頭葉てんかんの1例
岡崎 光俊伊藤 ますみ加藤 昌明
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2004 年 22 巻 3 号 p. 195-200

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抄録

複雑部分発作群発後に特異な精神症状を呈した前頭葉てんかんの1例について報告する。症例は17歳男性。1歳6カ月で発症し、抗てんかん薬の投与が開始された。その後複雑部分発作が1カ月に1~5回の頻度で出現していたが、X年2月複雑部分発作群発後に意識清明期(lucid interval)を経て精神病症状が出現した。主症状は持続する易刺激性、不機嫌、攻撃性に加え、挿間性に繰り返される短時間の衝動行為のエピソードであった。これら精神症状は約3週間持続した後自然消退した。本例は臨床症状と脳波所見より前頭葉てんかんと考えられ、今回出現した症状は発作後精神病と共通する機序を持つ病態と診断した。従来報告されている発作後精神病と比較すると、症状経過に相違点を認め、この要因として前頭葉の関与が推測された。

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© 2004 日本てんかん学会
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