2022 年 39 巻 3 号 p. 489-499
2014年に施行された自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律施行後に発生したてんかん発作に起因した交通事故のうち、刑事処分が判明している事例について調査した。さらに新法施行前の状況との比較を行い、現況と防止策について考察した。
対象26例の刑事処分は、有罪19例、無罪3例、不起訴4例で、起訴された22人の罪名は、危険運転致死傷が19人(86.4%)、過失運転致死傷が3人(13.6%)であった。
新法施行後、起訴事例のほぼ9割に危険運転致死傷が適用されており、司法の厳罰化の影響がみられた。新法施行前と比較して、運転に関する医師の指導を受けていた運転者は有意に増加していたが、怠薬や医師の指導を軽く受け止めていた患者もみとめられ、より徹底した注意・指導が必要と思われた。またてんかんの発症率が上がる高齢者の診断を迅速的確に行い、運転に関する注意を行うことが必要と考えられた。