てんかん研究
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Pseudoseizureを合併したてんかん患者10例の臨床的特性
久野 武足立 直人大沼 悌一石田 孜郎
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1992 年 10 巻 3 号 p. 209-214

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抄録

pseudoseizure (疑似発作) を合併したてんかん患者について検討した。対象は武蔵病院に入院した134名 (男: 85名, 女: 49名) のうち疑似発作を合併したてんかん患者10名 (男: 1名, 女: 9名, 平均年齢29.9歳) である。性, 現在年齢, 発病年齢, てんかん類型, てんかん発作型をあわせた, 疑似発作のないてんかん患者10名を対照群とした。幼少期発病例では20歳前後に疑似発作が出現する傾向があった。てんかん類型では側頭葉てんかんが6例と最も多かった。疑似発作型については, けいれん性7例, 非けいれん性4例であり, 自分自身のもつてんかん発作との類似性があったのは4例であった。疑似発作の基盤にヒステリー機制はなく, 原始反応に近いものと考えられた。対照群と比較して頭部CT異常, 基礎波の徐化と発作波の頻発, そして精神遅滞が多かった。疑似発作確定の際, 性別, 年齢, てんかん類型, CT所見, 間欠期脳波所見, 知能程度も考慮する必要があると考えられた。

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