てんかん研究
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側頭葉腫瘍のてんかん発作様式と画像診断の解析
川島 康宏柴崎 尚田村 勝大江 千廣
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1992 年 10 巻 3 号 p. 249-259

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抄録

てんかん発作を呈した側頭葉腫瘍20例のてんかん発作様式と臨床症状, CTやMRI, PETなどの画像所見, 脳波所見, 予後を検討した。CTまたはMRIにて扁桃核や海馬など側頭葉内側構造に腫瘍の浸潤や著しい圧排変形などの変化を認めた11例では嘔気や動作の停止と前方凝視, 自動症などhippocampalあるいはamygdalar epilepsyに特徴的な発作を認めた。一方, 側頭葉外側部に病変を持つ例では単純部分発作やJacksonian typeの発作, 前兆のない全身痙攣発作, auditory seizureやdreamy stateに続く全身痙攣発作が観察された。発作間歇期には患側側頭葉の局所脳血流量, 局所脳酸素およびグルコース代謝率は低下していたが, 腫瘍の存在部では血流量はその病態に応じて, 低下している部もあれば, 上昇している部も見られた。脳腫瘍治療後, てんかん発作は一般に抑制されやすくなった。側頭葉外側部のgliomaでは内側部のものに比し死亡率が高かった。

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© 日本てんかん学会
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