てんかん研究
Online ISSN : 1347-5509
Print ISSN : 0912-0890
ISSN-L : 0912-0890
側頭葉てんかんの近赤外線モニターによる脳内酸素変動と血流動態
小穴 康功王 傳育星加 明徳武井 章人坂上 紀幸平林 直次金子 雅彦
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 16 巻 2 号 p. 109-116

詳細
抄録
近赤外線を利用して脳組織内の酸素変動を無侵襲かつ容易に脳波室で検査可能となった。近赤外線モニターは、新生児、意識障害の患者、ICUの重症患者、モヤモヤ病などの脳全体の組織内酸素変動に応用されてきたが、側頭葉てんかんの局在性の酸素変動に関する臨床研究は十分行われていない。今回、側頭葉に形態の異常を示した症候性部分てんかん11症例にハママツホトニクス社のNIRSを使用して、脳波記録中3分の過呼吸負荷を行いつつ、最初に左側頭前部と中部に光ファイバー入出力光のダイオードを装着し負荷後も記録を行い、次に右側頭中部と前部で実施した。その結果、萎縮を示した側頭葉で過呼吸負荷時に酸化型ヘモグロビン (HbO2) が9症例で減少し、他の2例の側頭葉切除例ではHbO2の変動は切除側でみられず、反対側では酸素変動が大きかった。しかし、還元型ヘモグロビン (HbR) は萎縮側と反対側では相違を示さなかった。さらに、近赤外線モニターによる局在性側頭葉機能検査の臨床応用について研究を重ねる必要がある。
著者関連情報
© 日本てんかん学会
前の記事 次の記事
feedback
Top