抄録
中枢性ベンゾジアゼピン受容体 (以下、BZR) の特異的リガンドであるiomazenilを用いたautoradiographyとSPECTを行い難治局在関連てんかんにおけるBZRの変化を調べた。27例の外科切除標本の125I-iomazenil autoradiogramで、硬化所見に乏しい例の海馬ではBZRが全層に亘り保持されていたが、内側側頭葉硬化例の海馬ではCA1、3、4の神経細胞脱落の程度と相関したBZR濃度の低下を認めた。皮質形成異常例では形成異常の程度に比例してBZR濃度が低下していた。良性腫瘍と血管腫の症例では病変部のBZR濃度の低下が著明であった。123I-iomazenil SPECTが施行された9例中8例で焦点側の脳葉に低集積所見を認め、これに対応する切除標本のautoradiogramにおいてBZR濃度の低下が確認された。したがってautoradiogramによる定量的検索からてんかん原性焦点と密接に関連する領域におけるBZR濃度の変化が明らかとなり、SPECTの有用性を組織化学的に裏づける結果が得られた。