てんかん研究
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実形状頭部3層モデルを用いた双極子追跡法によるてんかん焦点の推定
器質性疾患周囲における等価電流双極子分布の検討
知禿 史郎星田 徹合田 和生榊 寿右
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2000 年 18 巻 2 号 p. 114-123

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抄録
てんかんで発症した5例の器質性病変を対象に、発作間欠期棘波から等価電流双極子 (ECD) を推定し、器質性病変がてんかんの原因と推定しえるか、を検討した。
頭部CT水平断像を重ね合わせ、実形状頭部3層モデル (頭皮・頭蓋骨・脳) を作成し、各層の導電率を考慮し1双極子法で発作間欠期の棘波のECDを算出した。これらECDを三次元脳モデル上に投射した結果、全例病巣周囲にECDが集中した。ECDは周囲20mmまでは5mm毎に全体の10%を越える増加率を示すが、20mmを越えるとその増加率は低下がみられた。その分布は、病巣周囲20mm以下の領域に全例70%以上の高い集積がみられた。術前の検査結果を総合的に検討し、全例、病巣部摘出のみを行い、術後、全例けいれんは消失、または著明に減少した。今回の検討では、症例数も少なく統計学的な検討が行えなかったが、発作間欠期棘波から双極子追跡法により推定したECDが、器質性病変周囲20mm以内に70%以上集積し、かつ、他の術前検査結果と一致した場合は、病変部がてんかんの原因である可能性が高いといえる。
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© 日本てんかん学会
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