てんかんの診療や臨床研究における脳波の問題点を小児てんかん学の経験から述べた。
1) 小児てんかんでは脳波を3回実施した場合のてんかん発射累積出現率は92.3%であるが, 成人では70-80%である。
2) てんかん症候群に特異的な脳波所見は全体としては稀で, 大多数のてんかんは非特異的脳波所見を呈している。そこで, 非特異的所見を分析的に検討して, 臨床および研究に役立たせることが重要である。
3) Electrically silent seizureは稀であるが, 非てんかん性発作現象との鑑別診断が難しい。
4) 痙攣素因を示唆する脳波型はてんかんの病因分類に応用しうる。
5) てんかんの治療は脳波所見を参照しながら行うことがのぞましいが, 病状の程度が脳波に反映されにくい病型がある。前頭葉てんかん, 内側側頭葉てんかん, 乳児重症ミオクロニーてんかんの辺縁型などである。
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