てんかん研究
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良性小児てんかんにおけるローランド発射の脳磁図による研究
症候性部分てんかんの棘波と比較した電流モーメントの特徴
平岩 里佳渡辺 裕貴Susumu Sato八木 和一
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2000 年 18 巻 2 号 p. 124-132

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抄録
中心・側頭部に棘波をもつ良性小児てんかん (BECT) 5例の脳磁図を記録し、ローランド発射 (RD) の等価電流双極子 (ECD) 解析を行った。ECDの電流モーメント (Q) の分布について、RDと年齢分布の一致した症候性部分てんかん (SPE) 9例の棘波との結果を比較検討した。結果、BECT、SPE両群ともにQの分布は正規分布ではなかったが、対数に変換すると正規分布を示した。対数正規分布から導いたQの平均値は、BECT群では272nAm (mean±SD144-514nAm) 、SPE群では、177nAm (mean±SD109-286nAm) であった。RDのQはSPEの棘波のQに比べ、有意に大きく、より幅広く分布した。さらに、RDは、発作の消失とともに比較的短期間に小棘波に変化し、そのQも著明に減少した。Qの検討から、RDは、SPEの棘波に比べ、より多くの、より可変性のある数の神経細胞集団が同期的に興奮することにより生じていると考えられた。
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© 日本てんかん学会
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