1986 年 4 巻 2 号 p. 158-163
てんかん性精神病の1症例 (20歳, 女性) にTRH analog (DN-1417) を投与し, 臨床経過および経時的な脳波所見を報告した。DN-1417は今まで服用中の抗てんかん薬の血中濃度に変化を与えることなく, 自閉的ともいえる能動性の低下に対して著しい効果をもたらした。さらに幻覚, 妄想などの異常体験をも改善した。脳波はパワースペクトル分析を行い, 鳥かん図に表記して経時的変化を検討した。その結果, 臨床症状の改善と側頭部脳波の速波化とはよく対応していた。