てんかん研究
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小児期の難治てんかんに関する研究
大塚 頌子荻野 竜也村上 暢子大日方 修天野 るみ大田原 俊輔
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1987 年 5 巻 1 号 p. 24-33

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抄録
小児の難治てんかんの実態を解明するために, 初診時年齢が15歳未満で初診後3年以上追跡された小児てんかん561例のうち, 追跡時点で初診時に比して発作頻度が不変または増悪している難治群について調査した。あわせて追跡時点で3年以上発作が抑制されている経過良好な対照群と比較検討した。
難治群は41例 (7.3%), 対照群は375例 (66.8%) であった。難治群の比率をてんかん分類別にみると, Lennox-Gastaut症候群で28.2%と最高率で, 次いでWest症候群10.5%, severe myoclonic epilepsy in infancyは症例数が少ないが, 全例難治であった。初発年齢別では生後6カ月未満の症例で難治率が高率であった。一方, 対照群の比率は特発性全般てんかんでは85.6%で高率であった。
対照群との比較では有意差を示したのは難治群で初発年齢が生後6カ月未満のものが高率なこと, 基礎疾患を有するものが多く, 成因では家族歴が低率で出生前要因が高率なこと, 精神遅滞, 運動障害の重複, てんかん重積状態, 新生児痙攣の既往も高率であった。難治群の治療の評価ではみせかけの難治例が比較的多いことが注目された。
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© 日本てんかん学会
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