てんかん研究
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抗てんかん薬治療における初期の治療効果と長期予後との関係
福島 裕和田 一丸斎藤 文男橋本 和明
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1989 年 7 巻 1 号 p. 106-109

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抄録
10~15年間にわたって継続的に治療経過を観察しえた89例について, 治療開始後の最初の2年間での治療効果 (初期効果) と長期予後との関係をみた。その結果, 初期効果良好なものは予後良好なものが多く, 初期効果が十分でなかったものには予後不良なものが多くみられ, 初期効果と予後との間に有意な相関がみられた。しかし, このような初期効果と予後との相関は, 発作型などの臨床因子によっても異なることが明らかにされ, 「全般発作」, 「外因なし」, 「合併症状なし」, 「10歳以下発症」, 「発病後1年以内に治療開始」では, 初期効果が良好であれば予後も良いという傾向が示唆された。また, 「部分発作」, 「外因あり」, 「合併症状あり」, 「10歳以下発症」, 「発病後1年以後に治療開始」では, 初期効果が不十分な場合, 予後も悪い傾向が強いことが示された。
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© 日本てんかん学会
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