われわれは大発作を主徴とする小児の難治てんかんの7症例を報告する。この7症例の臨床特徴は,
1) 明らかな推定原因疾患をもたず, てんかん発病までおおむね正常範囲内の発達にあった。
2) 発病は1歳未満であった。
3) 初発時および乳児期の発作型は主として一側ないしは全般性間代発作か全般性強直間代発作であるが, 幼児期にいたると全般性強直間代発作をくりかえすようになり, 以後きわめて治療抵抗性に経過した。
4) 経過中に複雑部分発作とみなされる発作をもつ症例があったが, 一過性であった。
5) 発病当初には著しくないが, 経齢に従って精神遅滞が次第に明らかとなった。
6) 発病当初の脳波にはてんかん性発射を欠き, その後全般性棘・徐波複合ないし多棘・徐波複合を呈するようになった。しかしその頻度は, 臨床発作が頻発しているにもかかわらず比較的少なかった。
以上の臨床特徴は, 独立したてんかん症候群の条件を備えているとはみなされないが, 発作および知能の両面から難治性であるために, 原因および治療の両面の今後の研究が必要である。
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