てんかん研究
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Clorazepateの小児難治てんかんに対する有効性について
大谷 和正岡本 伸彦田川 哲三二木 康之藪内 百治
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1991 年 9 巻 2 号 p. 141-146

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抄録
小児の難治てんかん38例にclorazepate dipotassium (CLP) をadd-on法にて投与し, その効果を検討した。症候性全般てんかん (19例) に対しては長期 (6カ月以上) 有効例はなく, 1ヵ月以内の一過性発作頻度減少が2例であった。症候性部分てんかん (13例) に対しては長期発作消失が3例, 長期発作頻度減少が2例であった。これら定有効例のうち4例は焦点性運動発作や二次性全般化けいれんを主体とする発作であった。焦点性か全般性か決定できないてんかん (6例) に対しては長期発作消失が2例, 長期発作頻度減少1例であった。長期発作消失の1例は徐波睡眠時に持続性棘徐波を示すてんかん, 他の1例と長期発作頻度減少の1例は全般性強直間代けいれんを主徴とする難治てんかんの姉弟例であった。これらの結果CLPは症候性部分てんかんのうち焦点性運動発作や二次性全般化けいれんを主体とするもの, および全般性強直間代けいれんを主徴とする難治てんかんに対して試みる価値のある薬剤と考えられた。
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© 日本てんかん学会
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