実験社会心理学研究
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原著論文
他者判断と所属集団サイズが合意性推定に及ぼす影響
田村 美恵
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2005 年 45 巻 1 号 p. 1-12

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抄録
人は,自分自身の判断や態度,行動(以下,自己判断)に対する合意性をどのように推定するのだろうか。またその際,自己判断に対する合意性推定のあり方は,自分以外の他者の判断を示されることで,どのように影響を受け,調整/修正されるのだろうか。この点に関して,先行研究間では,必ずしも一貫した結果が得られていない。本研究では,自己判断と他者判断の一致,不一致が合意性推定に及ぼす影響について,自分が多数派に属するか少数派に属するかという「所属集団サイズに関する予期」との関連で検討した。その結果,所属集団サイズに関する予期の違いによって,自己判断や他者判断への関心(重み付け)が左右され,異なる合意性推定プロセスが生起することが見出された。まず,自分が多数派に属するという予期を有する場合には,合意性推定は,専ら,自己判断をベースとして行われ,他者判断は,その内容如何に関わらず,合意性推定に影響を及ぼさなかった。これに対して,自分が少数派に属するという予期を有する場合には,自己判断だけでなく他者判断も考慮され,それらの内容が一致しているか否かによって,合意性の見積もり方が左右されていた。これらの結果に基づき,従来の見解の相違について考察した上で,合意性推定に及ぼす集団間文脈の影響,ステレオタイプ研究との関連などについて議論を展開した。
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© 2005 日本グループ・ダイナミックス学会
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