実験社会心理学研究
Online ISSN : 1348-6276
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早期公開論文
早期公開論文の4件中1~4を表示しています
  • Kazuya Iwata, Hiroshi Shimizu
    原稿種別: Short Note
    論文ID: 2502
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/09/02
    ジャーナル フリー 早期公開
    電子付録

    Traditionally characterized by interdependence, Chinese culture is shifting toward greater independence as Western influences grow. Previous research on Japan, another interdependent culture, has demonstrated “preference-expectation reversal” (Hashimoto & Yamagishi, 2015), where individuals prefer independence but expect others to prefer interdependence. This study investigates whether this reversal also occurs in China. Chinese participants (N=144) completed an online survey. The findings showed that participants overestimated others’ evaluations of interdependent individuals and underestimated their positive evaluations of independent individuals. Additionally, participants viewed their ideal self as more independent than the self they perceived others to have, indicating a preference-expectation reversal in China. The study discusses “cultural lag” as a possible explanation.

  • 原田 瑞穂, 五十嵐 祐
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 2420
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/08/21
    ジャーナル フリー 早期公開
    電子付録

    間接互恵性は,利他行動を通して行為者の肯定的な評判が形成されることで,第三者から資源が返報されるというメカニズムのもとで検討されてきた。しかし,すべての第三者が利他行動を肯定的に評価するとは限らない。特に,集団サイズが増加すると,人々は第三者からの評価に対してより敏感になる一方で,第三者から返報を受けることへの期待を低く見積もる可能性がある。本研究では,第三者の人数と利他行動との関連について,評価への関心と間接的な利益に対する期待による影響を考慮した実験室実験(N=111)を行った。参加者は,架空のNPO法人に寄付を行った後,所定の人数(1人,5人,9人)から無作為に選ばれた架空の参加者1人との間で,信頼ゲームを行った。このとき,架空の参加者は参加者の寄付額を知った上で資源を提供すると教示した。実験の結果,評価への関心,間接的な利益に対する期待,寄付額のいずれも,条件間で有意な差がみられなかった。ただし,第三者の人数が増加するにつれて,評価への関心が寄付行動を抑制させる効果を高める傾向がみられた。本研究の結果は,人々が自身の行動を評価する人物の人数によって自身の評価に対する関心を変化させ,利他行動を調節する可能性を示唆する。

  • 井奥 智大, 松木 祐馬, 岩谷 舟真, 田中 晶子, 湯山 祥, 向井 智哉, 貞村 真宏, 綿村 英一郎
    原稿種別: 資料論文
    論文ID: 2413
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/08/02
    ジャーナル フリー 早期公開
    電子付録

    本研究はXu et al.(2021)を踏まえた上で,日本の一般市民による身体的・心理的虐待の認識,通告意図に関する要因を検討した。日本人1,485名からデータを収集した。回帰分析の結果,事例の深刻度が高いほど,参加者は軽度・重度の身体的および心理的虐待を認識し,通告しようとしていた。一方で,躾に厳格な育児観をもつほど,参加者は軽度の身体的および心理的虐待を認識していないことがわかった。周囲の人なら通告するはずという主観的規範が強いほど,参加者は軽度・重度の心理的虐待に対して通告しようとしていた。また,他者が対応するべきであり,自分には関係ないという傍観的態度を持つほど,参加者は軽度・重度の身体的および心理的虐待の通告をためらっていた。さらに,恨まれることへの不安が強いほど,参加者は軽度・重度の身体的虐待および重度の心理的虐待の通告をためらっていた。

  • 相田 直樹
    原稿種別: 資料論文
    論文ID: 2411
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/07/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    協働学習における意見表明は学習活動の根幹であるが,自分の考えを他者の評価にさらすことでもあるため,学び手が他の学び手からの評価をいかに予測しているかを検討することが重要である。本研究は公的自己意識に着目し,協働学習における評価予測との関連を検討した。具体的には,協働学習中に自身が意見を表明する際に他の学び手から受ける評価は,公的自己意識が高いほど低く見積もられるという仮説と,公的自己意識が高く統制感も高い学び手は,公的自己意識が高く統制感が低い学び手に比して,他の学び手から受ける評価を高く見積もるという仮説を立てた。本研究では中学生を対象にグループワークに関する質問紙調査を実施し,重回帰分析を行った。その結果,中学2年生においてのみ公的自己意識と統制感の交互作用が見られ,「学び手自身に対する評価予測」について公的自己意識高群では統制感との関連は見られないが,公的自己意識低群では統制感との正の関連が見られるという,仮説とは異なる結果が得られた。公的自己意識と統制感が評価予測,発言,傾聴といかに関連するかについて議論した。

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