実験社会心理学研究
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原著論文
  • 立部 知保里, 宮本 匠
    原稿種別: 原著論文
    2020 年 60 巻 1 号 p. 1-17
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/20
    [早期公開] 公開日: 2020/03/03
    ジャーナル フリー

    本稿は,2013年フィリピン台風ヨランダの被災地であるセブ州北部のメデリン町とバンタヤン島を事例とし,住民組織(People’s Organization: PO)が被災後の地域社会の再生に果たした役割と意義を考察するものである。まず,同地域では災害そのものによる被害はある程度回復しているものの貧困や開発という根本的な問題は被災前から変わっていないことや,一方で,災害後のNGOのサポートにより住民の当事者団体であるPOが多数立ち上がったことを示す。次に,POは生業の創出と生活向上,開発への抵抗を主要関心事としており,メンバーは活動への参加を通して生活の刺激・楽しみを得ていることを論じる。この事例から,従来の支援や助け合いの主体であった政府,NGO,家族関係は,それぞれ政治的な不公平,持続可能性,問題解決能力という点で限界があることを示し,POの意義と役割を,①支援の受け皿となる新しい主体となる,②被災住民の自立を促す,③被災住民による問題解決の方策を多様化させる,④被災住民の生活の活力となることであったと論じる。最後に,災害復興とそれを経た「次の社会」においてPOのような当事者組織が持つ可能性を交換様式の議論から明らかにする。

  • 大門 大朗, 渥美 公秀, 稲場 圭信, 王 文潔
    原稿種別: 原著論文
    2020 年 60 巻 1 号 p. 18-36
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/20
    [早期公開] 公開日: 2020/04/07
    ジャーナル フリー

    本研究は,2016年に発生した熊本地震後の2町村(益城町・西原村)の災害ボランティアセンター(災害VC)の運営の事例について,インタビューと参与観察により,組織論的観点から分析したものである。災害VCの組織モデルの比較研究からは,混乱を回避することを主眼に据える管理・統制モデルが益城町災害VCを,課題の解決を主眼に据える即興・自律モデルが西原村災害VCを捉える上で有効であることを明らかにした。そして,熊本地震においては,被害の最も大きかった益城町から,管理・統制モデルは現場に根ざした支援から垂直的に,即興・自律モデルは支援の届かないところ(西原村)へ向かうことで水平的に支援が離れていってしまうことで,構造的空隙が生じていた可能性があることを指摘した。その上で,多様なボランティアによる支援を展開する上で,即興・自律モデルを目指す必要があるものの,被害の大きいエリアでは管理・統制モデルが現れやすい。結果的として構造的空隙が生じないよう,即興・自律モデルを被害の大きいエリアで意図的に生成する必要があることを,災害ボランティアの社会運動的側面から提示した。

資料論文
  • 黒川 雅幸, 本庄 勝, 三島 浩路
    原稿種別: 資料論文
    2020 年 60 巻 1 号 p. 37-49
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/20
    [早期公開] 公開日: 2020/03/14
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,高校生・高専生用スマートフォン利用によるインターネット依存傾向尺度を作成することであった。高校生および高専生371名を対象に,オンライン調査を実施した。そのうちの134名は,再検査信頼性を確かめるために,約1か月後に2回目のオンライン調査に回答してもらった。また,1回目のオンライン調査に協力してもらった人のうち,109名に対してスマートフォン利用の実測値の測定を約2週間行った。スマートフォン利用によるインターネット依存傾向尺度は,4因子38項目から構成された。4つの因子は,中毒性のある情緒問題を引き起こす「情緒」,やめようと思ってもできない「統制不全」,実生活を犠牲にしてでもスマートフォンの使用を優先する「スマートフォン誘因」,ソーシャルメディアによって承認を求めようとする「承認欲求」であった。尺度得点は安定しており,再検査信頼性は高いことが示された。また,実測値の測定により,土日における1日あたりの利用が600分以上の人は,200分未満の人よりも「統制不全」や「スマートフォン誘因」が高かった。さらに,いずれの下位尺度も依存の自覚症状や抑うつと正の相関があることも示され,妥当性を備えた尺度であることが示された。

Short Note
  • Keita Suzuki, Tomoya Yoshino, Yukiko Muramoto
    原稿種別: Short Note
    2020 年 60 巻 1 号 p. 50-55
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/20
    [早期公開] 公開日: 2020/03/03
    ジャーナル フリー
    電子付録

    Although it is well known that implicit theories (beliefs regarding the malleability of human attributes) affect one’s motivation, less is known about how these effects manifest themselves in certain educational environments. This study investigated how implicit theories moderate the effects of selection systems, which are prevalent in educational settings, on individual effort. The results indicated that when entity theorists (people who think ability is fixed) who performed relatively well received negative feedback and were not selected, they exerted less effort compared with incremental theorists (people who think ability is malleable). The negative effects of selection systems on motivation might be amplified among entity theorists when they are faced with an undefeatable rival.

  • Claudia Gherghel, Takeshi Hashimoto, Jiro Takai
    原稿種別: Short Note
    2020 年 60 巻 1 号 p. 56-60
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/20
    [早期公開] 公開日: 2020/04/07
    ジャーナル フリー
    電子付録

    Previous research suggests that individuals from interdependent cultures have more congruent views of agency and social obligations. This study aimed to confirm these findings by investigating the moderating effects of culture on the association between perceived social expectations regarding helping and affect. Japanese (n=164) and American (n=177) adults recalled a recent situation in which they helped someone and responded to a questionnaire regarding need satisfaction and affect. As expected, the Japanese subjects showed a stronger positive association between the perceived social expectation that they should help and positive affect than the Americans. For Japanese, the perceived social expectation that they should help increased satisfaction of the need for competence, leading to a more positive affect, while for Americans, the perceived social expectation that they should help reduced satisfaction of the need for autonomy, which in turn, reduced positive affect.

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