実験社会心理学研究
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資料論文
人は他者に視点取得されたと思うとき,共感されたと感じるか:認知と感情を区別した検討
鈴木 雄大山川 樹坂本 真士
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2022 年 61 巻 2 号 p. 71-80

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抄録

本研究では,感情的視点取得(i.e., 他者の視点にたって,その人の感情を想像すること)と認知的視点取得(i.e., 他者の視点にたって,その人の考えを想像すること)を区別し,これらを他者にされたと知覚すること(i.e., 被感情的視点取得の知覚と被認知的視点取得の知覚)が被共感の知覚に及ぼす影響を検討した。参加者は自身の意見を述べるエッセイを書くよう求められ,それを読んだ別の参加者(実際には存在しなかった)が感情的視点取得および認知的視点取得をしたかどうかがフィードバックされた。その結果,被感情的視点取得の知覚および被認知的視点取得の知覚は,ともに被共感の知覚を促進することが示された。ただし,被共感の知覚を生じさせるかどうか検討したところ,被感情的視点取得の知覚のみが被共感の知覚を生じさせることが示唆された。他者に感情的視点取得および認知的視点取得をされることの効果について考察した。

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© 2022 日本グループ・ダイナミックス学会
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