実験社会心理学研究
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愛好家サブカテゴリーの顕現化によるギャンブラーへの潜在的態度の肯定化
清水 佑輔岡田 謙介唐沢 かおり
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論文ID: 2008

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抄録

ギャンブラーには,一般的にギャンブル依存者(以下,依存者と略す)とギャンブル愛好家(以下,愛好家と略す)が存在する。ギャンブラーに対して少なからず否定的な態度が存在し,そのために依存者が周囲に助けを求めにくくなっていることが指摘されている。この問題に対して,愛好家に対する相対的に肯定的な態度を利用すれば,ギャンブラーというカテゴリー全体に対する否定的な態度を軽減できる可能性がある。また,否定的な態度を測定するうえで,社会的望ましさ傾向の影響を考慮する必要があるが,ギャンブラーに対する顕在的態度のみが測定されることが多く,潜在的態度の検討が十分に行われていない。そこで本研究では大学生の参加者にシナリオ実験を行い,依存者,愛好家のシナリオを読みサブカテゴリーの存在が顕現化したとき,ギャンブラー全体に対する潜在的態度が変化するか否か検討した。その結果,サブカテゴリーとしての愛好家を強調することで,ギャンブラーに対する潜在的態度を肯定化できる可能性が示された。依存者に対する否定的な態度を考える上で,一般的に見落とされがちな愛好家の存在を顕現化するという方略は,今後,依存者に対する態度変容を促す心理学的研究に応用できると考える。

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