抄録
本実験では電話を介した相互作用場面が取りあげられるとともに, 被験者は実験者の役割を演ずるように求められた。
実験条件としては, パートナーの魅力とパフォーマンス (作業成績) が操作された。
実験結果はattribution theoxyと関連づけて分析された。
(1) 魅力及びパフォーマンスに関わる操作は被験者に正しく認知され, 意図した通りの効果をあげることができた。
(2) 高成績条件ではパートナーの魅力如何にかかわらず, 「パートナー自身の有能さ」 にその説明が求められた。
(3) 低成績条件ではパートナーの魅力如何にかかわらず, 「実験者としての役割を十分に果たすことができなかった」 と判断された。
(4) 高魅力-低成績条件では, パートナーの低成績の原因は 「パートナー自身の能力」 以外に, (イ) 課題が能力を測定するのに適していなかったこと, (ロ) パートナーが能力を十分に発揮しえなかったこと, (ハ) 実験者としての役割遂行の失敗, に求められた。
(5) 低魅力-高成績条件では, パートナーの高成績の原因は 「パートナー自身の能力」 のほかに, 課題が能力を測定するのに適していなかったこと, に求められた。
(6) コントロール条件においては, 特に顕著な判断傾向はみられなかった。
また, 本実験がこれまでの研究のなかでもつ意味合いについて, コミュニケーション・メディアの相違と関連づけた考察がなされた。