実験社会心理学研究
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情報の望ましさとメディアが情報伝達に及ぼす影響
岡本 真一郎
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1981 年 20 巻 2 号 p. 101-107

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抄録

情報の望ましさと伝達のメディアが, 伝達される内容の歪みに及ぼす効果と, 付加的に, 両変数が伝達時の音声反応や対人印象に及ぼす影響が検討された.
被検者は56名の男子大学生で, 実験者1 (E1) から, 実験者2 (E2) への伝言を依頼された. 伝言はE2にとって悪い内容 (E2のデータ分析が大失敗であった) か良い内容 (E2のデータ分析が大成功であった) だった. もう1つの独立変数として, 被験者が伝言をE2に伝えるメディア: 対面-電話が導入された.
仮説は次のとおりである: 1) 悪い知らせは良い知らせより, 内容が弱めて伝えられるだろう. 2) 対面条件では電話条件より, 悪い知らせの内容が弱めて伝えられるだろう.
実験の結果, 仮説1) は, 文節数, 述語数, 強め語句, 弱め語句および忠実度の全指標で支持された. 仮説2) はどの指標でも支持されず, 特に弱め語句と忠実度は, 仮説と逆の傾向を示していた.
音声反応に関しては, 対面条件のほうが電話条件より伝達速度が遅く, 伝達時に笑った被験者が多かった. また, 対面条件の被験者は, E2をより暖かく, より好感がもてると評定し, 被験者自身がE2に対して与えた印象も, より暖く, より好感がもてるものであると評定していた.

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