実験社会心理学研究
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大学生における孤独感と対処方略
諸井 克英
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1989 年 29 巻 2 号 p. 141-151

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抄録

本研究の主目的は, 孤独感の対処方略の基本的構造を明らかにし, 孤独感と対処方略との関連を検討することであった。また, 短期的孤独感と長期的孤独感との区別も試みた。男女大学生 (N=402) を対象として, “ここ2週間の状態”, “ここ1年間の状態”という2つの基準で評定させるUCLA孤独感尺度, 対処方略項目質問紙, 自尊心尺度を実施した。
主要な結果は以下の通りである。
1) 短期的孤独感と長期的孤独感との問には高い正の相関があった。しかし, 男子の短期的孤独感は女子よりも高かった。
2) 因子分析 (主因子法) によって, 男子では7つ, 女子では6つの対処方略因子が得られた。
3) 重回帰分析によると, 友だちとの関係を利用した対処方略は長期的孤独感の低減に有効であるが, 消極的受容方略はむしろ孤独感の長期化をもたらしている。
4) 2つの孤独感評定を利用して, 孤独感の慢性的水準に応じた3群を選別し, 判別分析を行った。男女ともに, 友だちとの関係を利用した方略は孤独感の慢性化を抑制するが, 男子では消極的受容方略が慢性化を促進していた。

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© 日本グループ・ダイナミックス学会
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