抄録
リーダーシップP-M論におけるP-M類型の効果性に関して, 従来の実験的研究や調査研究で見出されてきた主要な効果性順位のパターンを表現する数理モデルを提起した。具体的には, P行動 (あるいは, M行動) 単独の効果性をロジスティック方程式で表現し, P・M行動の効果性を, (1) P行動単独, および, M行動単独の効果性の和とするモデル, (2) 両者の積とするモデル, (3) P行動に関する効果性関数の導関数とP行動量の積, および, M行動に関する効果性関数の導関数とM行動量の積の和とするモデル, の3つを検討した。いずれのモデルにおいても, 短期的 (P・M行動の総量が小さい場合) にはP型優位の効果性順位が得られ, 長期的 (P・M行動の総量が大きい場合) にはPM型優位の効果性順位が得られるという従来の実証的研究の結果を表現できることを確認した。また, 成員の高い達成動機や成員間の緊密な協働が要請される効果性変数を対象とするときには, (1) よりも (2) , (2) よりも (3) の方が, モデルとして適切であることを指摘した。