実験社会心理学研究
Online ISSN : 1348-6276
Print ISSN : 0387-7973
ISSN-L : 0387-7973
原子炉開発専門家と一般人のリスク認知の差異
水鴬 友昭林 理
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 35 巻 2 号 p. 178-184

詳細
抄録
本論文では原子力発電開発に従事する専門家と一般人の原子力発電やその他の工学的技術や製品に対するリスク認知構造の違いを明らかにすることを目的とし, それを解明した。因子分析の結果, それぞれの構造は「恐ろしさ」と「未知性」の2因子モデルで説明することができることがわかり, 専門家における知識は科学全体として知られていることを「わかっている」こととし, 個人的な知識のみを知識とはせず, 科学的に明らかにされていれば知識とみなす傾向があり, 一般人は個人的に知っていることを「わかっている」こととする傾向があることが判明した。また, 専門家と一般人をボンドし, 原子力発電に関係する項目をそれぞれ比較した結果, 専門家は一般人と較べ比較的に「未知性」, 「恐ろしさ」ともに低く, 知識量の差により, 原子力発電に対する恐ろしさが変化していることが判明した。これにより, 一般人に個人的な正しい知識を与えることにより, リスク構造認知の差を小さくすることが可能であることが判明した。
著者関連情報
© 日本グループ・ダイナミックス学会
前の記事 次の記事
feedback
Top