実験社会心理学研究
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留学生のパーソナリティ特性が在日適応感に与える影響について
達成志向性・調和志向性の観点から
樋口 康彦
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1997 年 37 巻 2 号 p. 150-164

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抄録

本研究においては, 在日留学生を被験者として, 心理的特性と適応感の関連について調査を行った。方法としては, 質問紙法を用いた。まず, 過去における適応に関する研究結果を基に在日適応感に影響を与える要因として, 達成志向性と調和志向性を選定した。
そして各志向性の平均値を基に被験者たちを4タイプに分類した。分散分析の結果, 達成志向性・調和志向性ともに高いタイプが最も高い適応感を示すことがわかった。次に, タイプ分けの効果の他, 各志向性が適応感に与える効果の有意性について確認するため分散分析を行った。その結果, 各志向性の主効果, 両変数の交互作用が有意であった。
次に, (a) 心理的特性以外の要因, (b) 心理的特性, (c) 適応感の関係性について総合的にとらえるため, 2次因子分析を行った。その結果, 達成志向性, 調和志向性は, 友人からのサポート, 語学力と並んで, 適応感と非常に強い関係を持っていることが明らかになった。

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© 日本グループ・ダイナミックス学会
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