実験社会心理学研究
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分配者自身による報酬分配の公正認知に関する研究
原田 耕太郎
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1998 年 38 巻 1 号 p. 28-38

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抄録

本研究は, 主に分配者自身による報酬分配の公正認知に及ぼす決定方式 (集団決定と個人決定) と投入との影響について検討した。また, 分配者と被分配者という関係を継続するという予期の効果もあわせて検討した。仮説1は, 集団決定の方が個人決定よりも, 分配者の公正認知が高いであろう, という仮説である。仮説2は, 被分配者の業績の違いが被分配者間にある努力の違いに依存する条件の方が, 能力の違いに依存する条件よりも, 分配の公正認知は高いだろう, という仮説である。仮説3は, 被分配者の業績の違いが被分配者間にある能力の違いに依存する条件での公正認知の低下は, 集団決定の方が個人決定よりも, 少ないであろう, という仮説である。仮説4は, 関係が継続すると予期する条件の方がそうでない条件よりも, 分配者自身の報酬分配の公正認知が高くなる, という仮説である。仮説5は, 決定方式と関係継続との交互作用に関する仮説である。本研究の結果は, 仮説1と仮説2を支持した。本研究は, 分配者自身による報酬分配の公正認知には決定方式が影響を及ぼすこと, さらに, 被分配者の業績および努力の違いに基づいた報酬分配の方が能力の違いに基づいた報酬分配よりも, より公正と認知されることを示した。

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© 日本グループ・ダイナミックス学会
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