実験社会心理学研究
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ムード状態が情報処理方略に及ぼす効果
ムードの誤帰属と有名さの誤帰属の2課題を用いた自動的処理と統制的処理の検討
北村 英哉
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2002 年 41 巻 2 号 p. 84-97

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抄録
ポジティブ・ムードが自動的処理を促進し, ネガティブ・ムードが分析的処理を促進するであろうとの仮説を検証するために2つの実験を行なった。実験1では, ポジティブもしくはネガティブ感情を導出した後, 被験者はポジティブ, ネガティブあるいはニュートラル・ムードを誘導する効果があると教示された音楽テープ (実際の効果はない) を聞くという状況で, 商品の魅力を評定した。結果は予測通りに, 割増効果はネガティブ・ムード群においてより顕著であった。
実験2では, 被験者はまず, 無名な企業名のリストを1回ないし4回呈示された。1-2日後, 被験者は以前呈示された企業名と新たな企業名をランダムに呈示されて, 有名か無名かの判断をさせられた。一度目にしたものは親近感が高まり, 有名と誤判断してしまうことが増える。結果は予測通りに, ポジティブ・ムード群の方が有名とする誤判断が多く, 親近感を正確に統制しなかった。これらの結果から, ポジティブ・ムード時において人は自動的処理方略に従事しやすいことが示された。
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© 日本グループ・ダイナミックス学会
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