抄録
本研究は, 阪神・淡路大震災を契機とする日本の災害ボランティアの動向を歴史的経緯を踏まえて整理し, 現在展開しつつある災害NPOの全国的なネットワーク化の意義と課題を以下の3点から検討したものである。第一に, 日本における民間の災害救援活動の歴史を阪神・淡路大震災以前, 震災直後, そして, 震災以降の3つに分けて整理した。その結果, 阪神・淡路大震災を契機として, 災害に関わるボランティアが「防災ボランティア」から「災害ボランティア」へと変容し, 災害ボランティアのネットワーク化が求められてきたことが明らかになった。第二に, 災害ボランティア・NPOのネットワーク化の現状について, 事例調査を基に報告した。災害NPOは, 地元地域における従来の活動を維持しつつ, 効果的な救援活動を行うために全国ネットワークに参加していることが明らかになった。最後に, 災害NPOのネットワークがもつ今後の課題を整理し, 日本における災害救援の今後のあり方を考察した。