日本食品化学学会誌
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滋賀県における農産物中残留農薬の実態について
小嶋 美穂子福永 健治西山 利正原田 浩之瀧野 昭彦辻 元宏
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キーワード: 農薬, 残留, 農産物, 検出率
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2005 年 12 巻 2 号 p. 100-106

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抄録

滋賀県における農産物中の残留農薬調査結果を1994年から2003年までの10年間についてまとめた。検体に対する検出率は、年により異なるが20%前後であった。野菜と果実を比較すると果実からの検出率が高い傾向にあり、国産と輸入を比較すると国産からの検出率が高かった。検出率の高い農薬は、国産農産物では、メタミドホス、アセフェート、シペルメトリン、フェンバレレート、輸入農産物ではクロルピリホス、メタミドホスであった。ピレスロイド系の農薬の検出率が高いが、10年間の経年変化をみると調査後半で減少傾向を示していた。農産物別に検出頻度を集計したところ、フェンバレレートはほとんどの農産物で上位であった。また、こまつな、しゅんぎく、ほうれんそう、ねぎは、シペルメトリンの頻度が非常に高かった。検出農薬数別に集計したところ、10年間で1農産物から1農薬のみの検出例は82%、2農薬は15%、3農薬は2%、4農薬は1%であった。検出された農薬で食品衛生法に残留基準が設定されている農薬は69.5%であった。それ以外の農薬は、残留基準が設定されていなかった。また、残留基準値を超過した事例は、10年間で3件であった。農薬の最大検出値を用いて農薬の摂取量を算出しADIと比較した。すべてADIの20%以下であった。

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© 2005 日本食品化学学会
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