抄録
SDS-PAGE法及び二次元電気泳動法を用いて、養殖ブリやけ肉発生に伴う筋形質タンパク質の変化を調べた。やけ肉発生時に減少した筋形質タンパク質を質量分析法(MALDI-QIT-TOFMS)法により分析したところ、グリコーゲンホスホリラーゼ(PYMG)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、クレアチンキナーゼ(CK)、グリセルアルデヒド三リン酸脱水素酵素(GAPDH)、乳酸脱水素酵素(LDH)及びアデニル酸キナーゼと同定された。また、筋形質タンパク質の減少は各種プロテアーゼ阻害剤によりほとんど抑制されなかった。一方、やけ肉発生に伴い減少したPYMG、GAPDH及びアルドラーゼのような筋形質タンパク質が筋原線維画分中に増加することが分かった。従って、養殖ブリやけ肉発生時には、筋形質画分中の一部のタンパク質は不溶化し、筋原線維画分に移行していることが示唆された。