森林利用学会誌
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論文
ジャワ島の人工林でのマツヤニ収穫作業における歩行動作の労働負担について
瀧本 義彦ヨフイ エフイ ユリアテイ松原 周信
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2004 年 19 巻 2 号 p. 107-118

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抄録

インドネシアのジャワ島の人工林で2003年2月〜3月に,マツヤニ収穫作業における労働負担に関する調査を行った。この収穫作業では3つの主な作業(初めの傷付け作業,採取作業と再傷付け作業)があるが,今回はこのうち採取作業について報告する。この研究では,荷物の負荷と地形条件の影響を中心に労働負担を検討した。作業時のデータは歩数と心拍数(後でエネルギー消費量に換算)を測定し,併せて作業能率を知るためにタイムスタデイを行った。その他,歩行時の標準的な労働負担を知るために,荷物の負荷で2条件L(荷物あり)とE(荷物なし),地形で3条件(平坦地,15%の上りと下り)の歩行テストを行った。作業者は年齢によって,3人を選んだ。この結果,EE(エネルギー消費量)の場合,L歩行(上り,平坦と下り,0.099-0.2029kcal/kg/min)はE歩行(0.0327-0.0764kcal/kg/min)より高かった。そして,平坦地歩行(L及びE)の平均EE(0.0327-0.1201kca1/kg/min)が最低だった。L歩行(上り,平坦と下り)の歩数は195-238,E歩行の場合は188-227だった。さらに,実際の作業時の結果では荷物負荷の増加量とEE増加量の関係は比例した。そして,地形条件とEEの関係も比例した。これらにより,歩行時の場合,荷物の負荷条件だけではなく地形条件がEEに影響を及ぼすことが明らかになった。

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© 2004 森林利用学会
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